スポンサーリンク
山中温泉のゆげ街道沿いの脇道を登ったところにある「長谷部神社」。
山中温泉を再興したと伝えられている鎌倉時代の武士・長谷部信連が祀られています。
境内は緑におおわれててすごいジブリ味のある神社でした。
山中温泉ゆげ街道にある「長谷部神社」に祀られているのは、鎌倉時代の武士・長谷部信連(はせべのぶつら)さん。
神社に祀られる方としては、それほど有名ではないので珍しいといえば珍しい。
山中温泉を開湯したのは約1300年前に北陸行脚にやってきた僧・行基さん。
行基といえば、あの奈良の東大寺や、竹生島の建立にかかわったり、草津温泉を開湯したとも言われるお方ですね。
お寺や温泉を巡るとちょいちょい目にするお方です。
そんな素晴らしきお方が開いた山中温泉も、その後兵乱で荒廃してしまいます。
その後、鎌倉時代初頭に、能登の地頭職を務めていた長谷部信連。
源頼朝の命で、加賀を平定し、その功績で加賀の地を加領されたそう。
領地になったってことね。
ある日、長谷部信連が鷹狩りの途中で鳥が傷ついた足を温泉で癒している姿を見て、温泉を再発見!これをきっかけに再び山中温泉が復興!ということになったのです。
その時の出来事が、
ある日、信連が鷹狩の途中、葦の草陰で痛めた足を湯に浸す白鷺に気付き、そっと近づいた。
白鷺は美しい乙女に変わり、薬師如来の化身と伝え、その昔、行基菩薩の湯ざや建立を信連に語って聞かせ、湯の再興を促したという。
信連が湯壺を掘ると薬師像が出てきた。
早速湯ざやを立てて薬師像を安置した。
という伝説として残ってるんですね。
薬師如来の言を受け、山中温泉を再興したからこそ、神社に祀られるということになったんですね。
当時は医王寺に武建霊神として肖像を祀っていたらしい。
(武建霊神は長谷部神社以外で見かけないからよくわからないけど、神様として祀る時の名前か何かなぁ)
ところが、明治初頭の神仏分離令により神社として独立し、明治5年(1872年)に長谷部神社が創建。
その後、社殿を造営遷座するも、地域住民間で争奪があり、一時、薬師山の白山神社に遷される。
(なに、地域住民間の争奪って……)
昭和19年(1944年)に正式に独立した神社として認められ現在の場所に遷座し、社殿が建立され、今に至る。
長谷部神社のご祭神として祀られている長谷部信連(はせべのぶつら)は鎌倉時代の武士。
『平家物語』や『源平盛衰記』にも登場します。
生まれは遠江国なので今の静岡県ですね。
長谷部信連は後白河法皇の第三皇子である以仁王(もちひとおう)に仕え、以仁王が源頼政と共謀した平氏追討計画がバレた時には、以仁王を園城寺に逃がし、検非違使の追手に単身立ち向かったという剛の者。
結局は捕らえられるのだけど、平家の詰問に対しても毅然と対応したことに清盛が感銘し、死罪ではなく流罪になったそう。
そして平家滅亡後には、源頼朝に召され、能登の地頭職に任ぜられたという。
また頼朝の命により加賀を平定し、加賀の地頭職に任ぜられます。
そこで薬師如来の化身から山中温泉の復興を頼まれる!
そして信連が山中温泉を再興すると薬師如来の霊湯として名が広まり、全国から多くの湯治客が訪れるようになる。
長谷部信連の死後は守護神として祀られるようになる。
と、なかなか波乱万丈な人生を送られてます。
長谷部家はその後、長姓となり、その子孫は能登畠山氏の重臣にもなってます。
前田利家が能登を領してからは、加賀藩前田家にも仕え家老職もつとめてます。
そうそう、もともと能登の地頭色だったこともあってか、実は能登にも「長谷部神社」があるんです。
山中温泉を再興した長谷部信連さんが祀られている「長谷部神社」は、ゆげ街道の脇道の坂を登ったところにあります。
坂の入り口には「長谷部神社」と書かれた石柱があるのですぐわかりますよ。
坂を登りきった突き当たり、ちょうど山を背にしたとこに「長谷部神社」がありました。
すごい樹々が生い茂ってますね。
長谷部神社の鳥居と狛犬。
狛犬はどちらも前足をぴーんと伸ばしてるのがかわいいですね。
鳥居の中央に神社名などが書かれた額のことを扁額(へんがく)とか、額束(がくづか)と言います。
神社は「神額」、寺は「寺額」と分けていうこともあるけど。
長谷部神社の神額は、龍神がぐるっと周りを取り囲んでいてめっちゃかっこよかったのです。
鳥居をくぐると参道の先は、森。
横を見ると広い敷地の奥の高台に社殿を発見。
建物は奥にあるお社くらいで、どちらかというと自然にちょっと手を加えた感じの森と芝が広がる境内。
社殿へと登る階段の脇に小さな滝と池があった。
苔むした階段と灯籠がなんとも言えぬ雰囲気を醸し出してるなぁ。
なんかジブリとかの物語に出てきそうな雰囲気の神社だね。
階段の途中にあった神馬?の像。
なんか翔び立ちそうな躍動感のある馬ですね、
反対側を見ると、丘陵地の境内を流れる川。
あえて境内の中に川を流したんだろうなぁ。
いや〜なかなかのジブリ感。
境内を流れる小川。
と滝。
傾斜地というのをうまく利用してますよねぇ。
滝があるだけで一気に清涼感が出る。
最も高い場所にある拝殿。
社殿の周りは塀で囲まれてて、その塀に沿ってぐるっと水が流れてた。
結界ってやつですね。
社殿の前にも狛犬さん。
かなりしっかりした作りの神社ですね。
本殿の脇にはお狐さんも祀られていました。
長谷部神社には社務所などはなく、無人の神社でした。
近くというか、国道364号線沿いにある白山神社(山中温泉白山町)が管理していて、御朱印も白山神社の方でいただけます。
白山神社は山中温泉だけでも5、6社あるんですよ……
ただ白山神社社務所があるのは山中温泉白山町の白山神社なので、こちらが山中温泉一帯の神社を管理してるみたいですね。
長谷部神社のすぐ近くに気になるお店がありました。
「和酒BAR 縁がわ WASHU BAR ENGAWA」というなんとも気になる佇まい。
なれど残念ながら営業時間前だったようで、残念。
名称 | 長谷部神社(はせべじんじゃ)HASEBE shrine |
---|---|
創建 | 明治5年(1872年) |
御祭神 | 長谷部信連(はせべのぶつら) |
御朱印 | あり(白山神社でいただけます) |
所在地 | 〒922-0129 石川県加賀市山中温泉南町ロ2-2 |
拝観時間 | 自由 |
定休日 | なし |
駐車場 | 近くにこおろぎ橋駐車場があります(無料) |
アクセス | JR加賀温泉駅から加賀温泉バス約30分 山中温泉バスターミナル下車徒歩約20分 |
TEL | 0761-78-0694(白山神社) |
URL | https://www.ishikawa-jinjacho.or.jp/shrine/j0485/ |
- 2020年5月に訪問した際の内容です。営業形態、営業時間や定休日が表記と異なる場合がありますので、ご利用の際は必ず事前にご確認ください。
- もし掲載内容に誤りがありましたら、大変お手数ですがご指摘いただけると幸いです。
- 写真の無断転用はご遠慮ください。
【加賀】薬王院温泉寺は1300年前に山代温泉を開湯した行基上人が開いた守護寺
【加賀】山中温泉随一のパワースポット栢野(かやの)の大杉は菅原神社にそびえる樹齢2300年の大杉
【花見】「千恵子桜」と名付けられた山間の小さな集落に咲き誇る美しき枝垂れ桜
【加賀】山中温泉「こいこい音頭」に合わせて踊る「からくり時計」は総湯「菊の湯」前広場にあるよ
【加賀】山代温泉の守り神が祀られている「服部神社」鳥居の横にはひと言だけ願いを聞いてくれる「一言地蔵」があるよ
【加賀】山中温泉の鶴仙渓遊歩道にある芭蕉堂は「黒谷橋」のすぐ近く