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加賀百万石の歴代藩主が愛でた金沢城の「玉泉院丸庭園」。
3代藩主利常が作庭を始め、代々手を加えられてきた大名庭園なのだけど、明治の廃藩後になくなってしまうのです。
しかし平成に入ってから発掘調査が進められ、復元整備されて、再び「玉泉院丸庭園」として蘇ったのです!
庭園全体を眺めながらお茶をいただける休憩所の「玉泉庵」もあり、また週末の夜にはライトアップも楽しめるのです。
「玉泉院丸庭園」は、加賀藩3代藩主・前田利常が、金沢城内の西の丸と呼ばれる重臣の屋敷が置かれていた玉泉院丸に造った庭園。
寛永11年(1634)に、利常(としつね)が京から庭師・剣左衛門を招いて作庭を始め、5代綱紀(つなのり)、13代斉泰(なりやす)など歴代藩主により庭園の改修がなされていったそうです。
ただ残念ながら明治になり廃藩になって以降、この玉泉院丸庭園はなくなってしまうのです。
玉泉院丸庭園の近くにある鼠多門も明治期に焼失し、大正時代には池が埋め立てられ、昭和になると石川県立体育館が建てられたりと、まぁ見る影も無くなっていったんですねぇ……
しかしながら平成に入ってから、発掘調査が行われ、それに伴い庭園の復元整備も進められ、平成27年(2015)3月に「玉泉院丸庭園」と休憩所「玉泉庵」が復元完成し、再び大名庭園として復活したのであります!
平成27年(2015)3月といえば、北陸新幹線が開業した年ですね。
「玉泉院丸庭園」 という名前の由来は、加賀藩2代藩主・前田利長(としなが)の正室の玉泉院に由来します。
玉泉院は織田信長の四女・永姫のことです。
2代利長が隠居先の越中高岡で死去した後、永姫は金沢に戻り剃髪し、玉泉院と名を改め、この地に屋敷を構えたのだそうです。
3代藩主の利常は、利長の異母弟なんですが、子宝に恵まれなかった利長が養子として迎えたんですね。
つまり利常は義理の姉であり、また母である玉泉院の屋敷跡に、西の丸から玉泉院と名を変え、庭園を作ったということですね。
ざっくり玉泉院丸庭園の流れをまとめると、
- 慶長19年(1614)2代藩主利長の正室・玉泉院の屋敷を造る
- 元和9年(1623)玉泉院逝去。屋敷は撤去されるがこの地の呼称が玉泉院丸となる
- 寛永11年(1634)3代藩主利常が京の庭師・剣左衛門を招き作庭開始
- 明治期になり庭園がなくなる
- 大正期には池も埋め立てられる
- 昭和30年(1955)県スポーツセンター(県体育館の前身)ができる
- 平成20年(2008)県体育館を取壊し、発掘調査に着手
- 平成27年(2015)玉泉院丸庭園と「玉泉庵」が完成
という感じですね。
(玉泉院丸庭園|金沢城公園より)
玉泉院丸庭園は、中央に大きな池があり、大小3つの島を浮かべて、周囲を橋や園路で結んだ池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)と呼ばれるもの。
日本庭園ではよくある形のものですかね。
庭には滝があったりと高低差22メートルもある起伏に富んだ庭園になってます。
何より玉泉院丸庭園の大きな特徴は、「石垣」を借景に取り入れてるところでしょうね。
「石垣」を庭の景観の一部に取り入れるってのはあまり聞いたことありませんもんねぇ。
結構な広さを誇る「玉泉院丸庭園」ですが、金沢城に隣接する「兼六園」と比べると「内庭」としての性格が強いんだそうです。
たしかに兼六園と比べれば広さからして段違いではありますが……
でも十分すぎるくらい立派なお庭ですけどねぇ。
これが内庭ですか……
江戸時代の前田家、ほんととんでもねーな。
右端に見切れてる建物が休憩所でもある「玉泉庵」です。
ここからも玉泉院丸庭園が一望できますよ。
そして左上にチラッと見えてる白壁の建物が、金沢城の三十間長屋ですね。
石垣の上にあるので庭園から見ると見上げる感じになりますね。
この三十間長屋も江戸時代の建築物で国の重要文化財です。
回遊式なので庭園の下の方まで行けたりもするのですが、残念ながら、池に浮かぶ中島を結ぶ橋は渡れないのです。
残念。
池に浮かぶ橋を渡って浮島とかにもいってみたいんですけどねぇ……
復元開園したばかりで芝が定着しきってないとかなんですかねぇ。
そのうち渡れるようになるといいなぁ。
とはいえ割と下の方まで降りれるので、庭園の高低差を感じることは十分できますよ。
広いよな……
これが内庭か……
そういえば庭園の池に船もありました。
残念ながら船遊びというアミューズメントはないですが、あったら是非やりたいですね!
もしかしたら庭掃除の人が使うためのものなのかな?
玉泉院丸庭園で見逃せないのはやはり「色紙短冊積石垣」ですね。
かつてはこの石垣の上から水が流れ落ちる滝になっていたそうです。
特徴的なのは、まるで短冊のような形をしたものや色紙形をした戸室石をまるでモザイクアートのように配したとこですね。
しかも色合いもきっと考えて作り上げてるんでしょうね、たぶん。
石垣ですよ!?
石垣にアートな要素を取り入れるとは……
玉泉院丸庭園にある「段落ちの滝」。
江戸時代には、金沢城の二の丸を通ってきた辰巳用水の水が、色紙短冊積石垣の下にあった滝壺から地中の水路を通って、この滝の水源になっていたらしい。
つまりは2種類の滝があったということか。
(石川県/庭園の写真ダウンロードより)
全体をうまく収められなかったので石川県の写真をお借りします。
なるほど色紙短冊石積石垣の下に段落ちの滝がありますね。
つまりこんな感じだったってことかな。
鼠多門から入ると池の左端、舟が止められているあたりには、江戸時代、紅葉橋という木橋があったそうです。
玉泉院丸庭園の池は、かつてはさらに北側へと堀状に続いていたらしい。
今は紅葉橋跡手前までなので、ここも橋ではなく普通に通路となっているのですが。
紅葉橋跡の看板の上の方が、金沢城の数寄屋敷跡あたりですね。
紅葉橋跡近くの玉泉院丸庭園の石垣は、また実に変わった形をしています。
普通石垣は防御のため幅広く囲うように作られるのに、なんとも不可思議な段差がありますね。
もともと庭園の入り口の門が載っていたらしいんですが、それにしてもこんな高低差のある石垣というのも珍しい。
庭園という場所にあることからやっぱりここも見た目重視!な石垣なんですかね。
(石川県/庭園の写真ダウンロードより)
こちらはちょうど色紙短冊石積石垣の正面にある休憩所「玉泉庵」。
写真の左側の部分は自由に出入りできて、ここから玉泉院丸庭園全体を眺めることもできます。
奥の建物ではお抹茶と季節の上生菓子をいただくこともできますよ。
玉泉庵は、江戸時代には「露地役所」という庭の整備管理に関するお役所があった場所だそうです。
玉泉院丸庭園は、金沢城の西側にあるので、もちろん金沢城からも行けます。
金沢城から向かうと高台から降りていくような感じですね。
玉泉院丸庭園は、金沢城の西側出入り口にあった「鼠多門」のすぐ近くにあります。
「鼠多門」も令和2年(2020)に復元されたので、
尾山神社⇄鼠多門⇄玉泉院丸庭園⇄金沢城⇄兼六園
というメインどころ観光地を結ぶ回遊ルートもできたことになりますね。
【金沢】ねずみ年に復元された金沢城の「鼠多門・鼠多門橋」に子年のうちに行ってきた 【金沢】ねずみ年に復元された金沢城の「鼠多門・鼠多門橋」に子年のうちに行ってきた〜その2〜金沢城内へと向かわずに、玉泉院丸口を出ると「しいのき迎賓館」や「金沢21世紀美術館」へも5分くらいで行けます。
途中の「アメリカ楓通り」は紅葉の時期はとても綺麗ですよ。
紅葉が綺麗な「アメリカ楓通り」は金沢のおすすめ散歩スポット(石川県/庭園の写真ダウンロードより)
毎週金曜日・土曜日、祝日の前日の日没から夜9時まで
- 金沢城公園(石川門・河北門・橋爪門の金沢城三御門、菱櫓・五十間長屋)
- 玉泉院丸庭園
がライトアップされています。
他にも観桜期や紅葉期にも臨時で開催されてます。
「玉泉院丸庭園」の夜間開園時の入口は「玉泉院丸口」です。
<玉泉院丸庭園>
所在地 | 〒920-0937 石川県金沢市丸の内3 |
---|---|
開園時間 | [3月1日~10月15日]7:00~18:00 (退園時間) [10月16日~2月末日]8:00~17:00 (退園時間) |
休園日 | 無休 |
入園料 | 無料 |
茶菓券 | 350円(第2土日:生菓子600円) |
駐車場 | なし |
アクセス | 金沢駅からバスで約10分「南町・尾山神社」バス停から徒歩約4分 |
問合せ | 076-234-3800 |
URL | http://www.pref.ishikawa.jp/siro-niwa/kanazawajou/gyokusen-in/ |
<玉泉庵>
開館時間 | 9:00〜16:30(受付は16時まで) ※12:00~13:00の間、清掃のため、入館できません。 ※貸切利用時など、入館できない場合があります。 |
---|---|
休館日 | 年末年始(12月29日から1月3日まで) |
呈茶料金 | 抹茶730円(オリジナル上生菓子付き) |
問合せ | 076-221-5008 |
URL | http://www.pref.ishikawa.jp/siro-niwa/kanazawajou/gyokusen-an/ |
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