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金沢21世紀美術館の近くにある中村記念美術館から、石川県立美術館へと続く「歴史の小径」。
多くの人は金沢21世紀美術館から石川県立美術館や国立工芸館へ向かう時、逆もしかりですが、広坂交差点から伸びる兼六園沿いの百万石通りという大きな坂道を登るかと思います。
個人的にはそのルートよりも「歴史の小径」もしくは「美術の小径」を通っていくのをオススメします!
時間的にはそんなに変わらないです。
でも「美術の小径」は辰巳用水が滝のように流れ落ち、木漏れ日の気持ちいい遊歩道。
そして「歴史の小径」は、江戸時代、この地に広大な屋敷を構えていた加賀藩の重臣本多家の上屋敷と中屋敷をつなぐ道を復元整備した遊歩道。
屋敷跡の石垣が残っていて、歴史のロマンを感じながら歩ける小径なのです。
今回はそんな「歴史の小径」をご紹介。
「美術の小径」についてはこちらの記事をどうぞ。
【金沢】「美術の小径」は金沢の中心にありながらも自然豊かで気持ちのいい散策路「歴史の小径」も「美術の小径」も、どちらも中村記念美術館と石川県立美術館をつなぐルートです。
中村記念美術館は金沢21世紀美術館の近くにあります。
中村記念美術館側からの入り口は実は同じになっていて、「歴史の小径」は「美術の小径」から途中枝分かれするようになってます。
現在地と書かれてるとこが、ちょうど下から上へとのぼる「歴史の小径」の入り口です。
そのまま右に上がる道は「美術の小径」。
「歴史の小径」は、平成29年(2017年)に復元整備されたばかりの新しい遊歩道です。
「歴史の小径」の入り口にあった案内板。
「本多家上屋敷西面門跡及び塀跡 附道(つけたり)跡」とありました。
「歴史の小径」は、加賀藩の筆頭家老を務めた本多家の上屋敷と中屋敷をつなぐ坂道。
高低差は10メートルほど。
本多家の上屋敷は現在の石川県立美術館や国立工芸館、歴史博物館のあるあたりでなんと1万坪を超える敷地を有していたんです!
案内板にあった「本多家上屋敷図」。
えげつないほど広い。
さすが五万石の禄高があった本多家ですね。
ちなみに全国には1万石に満たない大名が数多くいたんですよ。そんな中、家臣で5万石って……
そして上屋敷の崖下には、中屋敷、下屋敷がありました。
現在の「本多町」、「下本多町」あたりですね。
上屋敷・中屋敷があったあたりは、
- 石川県立美術館
- いしかわ赤レンガミュージアム
- 国立工芸館
- 中村記念美術館
などの公共施設になってて、下屋敷があったあたりは現在は住宅街になってます。
本多家の上屋敷は、本多家の家臣が出仕して家政を執り行う公の場。
中屋敷には当主の子供や隠居した人など本多家一族が住んでいて、下屋敷には本多家家臣が住み、中屋敷を取り囲むようになっていたらしい。
下屋敷は約10万坪あったらしいですからね、もはや小さな城下町……
なので下屋敷に住んでいた本多家の家臣たちは、毎日、崖上の上屋敷まで出仕、つまり通勤していたということですね。
その通勤路は、「緑の小径」と「美術の小径」だったんじゃないかと言われてます。毎日500人くらいのお侍さんが行き来してたらしい。
「緑の小道」は、鈴木大拙館と中村記念美術館を結ぶ遊歩道です。
一方「歴史の小径」の方は、当主や奥方、家族が利用していたんじゃないかと言われてます。
左下の細い道ですね。
途中に「不寝番所」なるものがあるので、警戒が厳重な道だったんですね。
現在はこんな感じ。崖沿いに本多家の門跡や石垣が残ってます。
では、本多家家臣団ではなくて、上屋敷へ向かう本多家一族になった気分で、「歴史の小径」を登りましょう。
「歴史の小径」はくの字に折れ曲がるようなつづら折りの坂道というか、階段になってます。
道沿いには、門跡や塀跡、石垣といった遺構が残っていて、江戸時代の武士たちもこの景色を見てたり、登ったり、というか日常の風景としてみてたんだよなぁなどと妄想掻き立てられます。
要所要所にある案内板。
上段の石垣は高さ約3メートル。
金沢城の石垣にも使われている戸室石で積まれた古い石垣の上に、川原石を主とした新しい石垣が増築されている構造。
下段の石垣は高さ約1メートル。
主に戸室石で積まれてて、坂道の形状に合わせて「く」の字に屈曲してる。
上下段の石垣ともに、南東隅角は戸室石で、長短交互に組む「算木積み」。
横倒しになった「中」の字のような刻印のある石垣もいた。
上段の石垣。なんかちょっと膨らんでる?
現存する門跡と道跡が文久2年(1862年)の絵図と同じような形をしてるらしい。
宝暦の大火(1759年)より前の屋敷図と比べると門と道の形が違ってるので、この間に上屋敷の大規模な改修があったらしいです。
「歴史の小径」は、新しい方、文久2年(1862年)の絵図の頃の道跡をもとに整備されたそうです。
文久2年の本多家上屋敷図。
石川県立美術館側の「歴史の小径」の出入り口にあった案内板に載ってました。
今はだいぶ緑あふれる森感ただよう「歴史の小径」だけど、江戸時代はどうだったんだろうなぁ。
もうちょっと見晴らしよかったのかなぁという気がしないでもないけど。
などと考えながら、江戸時代以来の復活?となった「歴史の小径」を歩くのも楽しいですよ。
「美術の小径」も「歴史の小径」も木々に覆われているので、夏場も割と涼しかったりします。
【金沢】「美術の小径」は金沢の中心にありながらも自然豊かで気持ちのいい散策路中村記念美術館から「歴史の小径」を登ると、石川県立美術館の裏手に出ますよ。
散策路を左へ行くと「兼六園」へ。
右に進むと、石川県立歴史博物館(いしかわ赤レンガミュージアム)や国立工芸館の方へでます。
木の影からうっすら見えうガラス張りの窓は、世界的パティシエ辻口博啓さんプロデュースの『ル・ミュゼ・ドゥ・アッシュ(LE MUSĒE DE H) 金沢』です。
この通路を行くと、窓際に座ってるお客さんが、どこから人が現れたの?みたくびっくりする人がたまにいてちょっと面白いです。
辰巳用水沿いの散策路を進むと国立工芸館などがある本多の森公園に出ます。
国立工芸館!
その奥のレンガの建物は石川県立歴史博物館です。
この辺一体全部、本多家の上屋敷だったんですよ。どんだけ広いんですかね。
「歴史の小径」は、「美術の小径」と違って、夜間及び冬季は閉鎖されます。
朝8時から夕方5時まで(10月11月は4時まで)通行可能。
12月から2月は閉鎖されるそうです。
まぁ冬場は凍ったりして滑って危ないですからね。
雨天時とか雨が降った後も、滑りやすくなってるので気をつけましょうね。
名称 | 歴史の小径 |
---|---|
所在地 | 〒920-0964 石川県金沢市本多町 石川県立美術館と中村記念美術館を結ぶ遊歩道 |
通行可能時間 | 8:00〜17:00(10月11月は16:00まで) |
閉鎖期間 | 12月〜2月 |
通行料 | 無料 |
アクセス | 「本多町」バス停から徒歩約3分 「国立工芸館・県立美術館」バス停から徒歩約3分 |
問合せ | 076-220-2469(金沢市文化財保護課) |
- 2021年7月に訪問した際の内容です。営業形態、営業時間や定休日が表記と異なる場合がありますので、ご利用の際は必ず事前にご確認ください。
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