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兼六園のそばにある西田家庭園『玉泉園』へ行ってきました〜。
存在は知ってはいたもののずっと行ったことがなかったんですが。(・・*)ゞ
金沢で庭園と言えば、やっぱり『兼六園』!ですよね。
なんといっても日本三名庭園のひとつでもありますからね。
ただ!実はその『兼六園』のすぐそばにある西田家庭園「玉泉園」は『兼六園』よりも120年も古く歴史があるんです!
これは、やっぱり地元民としては行っておかないとね。
西田家庭園「玉泉園」はほんと兼六園のすぐそばにあります。
道挟んでお隣さんくらいの近さです。
「玉泉園」は、加賀藩の大小姓頭であった、上級武士の脇田家がなんと4代にわたり100年かけて作庭した江戸中期の武家庭園。
兼六園の完成よりも120年も古いんだって!
玉泉園の作庭を始めたのは、脇田家の初代直賢(なおかた)。
江戸時代初期の頃で、兼六園の造園開始時期よりも古くて約400年前までさかのぼります。
それから、脇田家四代九右衛の代まで改修が続けられ完成したのは江戸時代中期、実に完成までに約100年も費やしたという。すげー。
「玉泉園」という名前は、加賀藩2代藩主・前田利長の御正室「玉泉院」からとったものだそうです。
「玉泉院丸庭園」と同じですね。
そのせいか、たまに「玉泉“園”」と「玉泉“院”丸庭園」を間違える人もいますね。
2代藩主利長の御正室の「玉泉院」は織田信長のご息女です。
そして「玉泉園」を造った脇田直賢は、「玉泉院」に育てられ、また玉泉院の勧めで加賀藩の家臣・脇田家に婿養子に入ったのです。
玉泉園を造り始めた、脇田家の初代直賢さん。
実は朝鮮の出身で名を金如鉄と言いました。
豊臣秀吉の征韓の役の時に父を亡くし、孤児となった如鉄を宇喜多秀家が哀れに思い、岡山へと連れ帰ったそうです。
ところが、宇喜多秀家はその後、関ヶ原の戦いで敗れてしまい、親子共々八丈島に流刑となってしまう。
如鉄少年は、宇喜多秀家の正室だった加賀藩前田利長の4女・豪姫に伴われて、金沢城へとやってきます。
そして、加賀藩2代藩主・前田利長の正室「玉泉院」に育てられましたんですね。
成長した如鉄は、利長の近侍となって帰化して、玉泉院の勧めて脇田家の婿養子に入り、初代直賢を名乗る……という。
なかなか波乱万丈ですね。
ちなみに、脇田家の二代直能は、裏千家の祖・千仙叟宗室から茶道を学んだそうです。
その仙叟の指導のもと作られた茶室が「灑雪亭」ですね。
こちらは現存する中では金沢最古の茶室。
そしてここではお茶をいただけるのですよ。
「玉泉園」は「玉澗流庭園(ぎょっかんりゅうていえん)」という様式で作られているらしい。
全国に6例しか確認されてないそうです。なるほど幻の様式ですね。
- 金沢・西田家庭園『玉泉園』
- 徳島『徳島城表御殿庭園』
- 徳島『阿波国分寺庭園』
- 和歌山『粉河寺庭園』
- 名古屋『名古屋城二の丸庭園』
- 愛媛『等覚寺龍華山庭園』
の6個かな?
中国南宋時代の画僧芬玉澗が描いた山水図「玉澗樣山水三段瀧圖」がもとになっているらしい。
玉澗流庭園の特徴は、
- 築山を二つ設けてある
- 築山の間に滝を組んである
- 滝の上部に石橋(通天橋)を組んである
- 石橋の上部は洞窟式になっている
ということらしい。
で、ここ「玉泉園」はこれら4つの特徴、すべて兼ね備えているそうです。
玉泉園の庭園内は一面苔むした緑がなんとも美しい庭園です。
庭園を散策するときは、苔を踏まないようにと飛び石が配されてます。
玉泉園を訪れた時に、せっかくなのでお抹茶付きにしました。
庭園散策の前にお抹茶をいただくことにしたので、まずは庭園最上段にある茶室「灑雪亭」へ。
本庭にある池の周囲にぐるっと配された飛び石を歩きながら上へ。
けっこう登る。
玉泉園は小立野台地の崖地、丘陵地にそって作られてるからけっこう傾斜がある。
玉泉園の最上段にある「灑雪亭」。
金沢最古の茶室であります。
ここでお抹茶をいただきます。
しかも和菓子は「吉はし」!テンション上がります。
その辺のことはこっちの記事に詳しく書いたので興味のある方はこちらへ。
【金沢】兼六園すぐそばにある西田家庭園玉泉園にある金沢最古の茶室「灑雪亭」でお抹茶をいただく玉泉園は上下二段式の庭園になっていて、「灑雪亭」のある最上段からは池の周りを回る回遊式になっているのがわかります。
玉泉園は座敷に座って眺めることに重きを置いた庭らしいんですが、池泉回遊式庭園になってるので池泉のまわりをのんびり散策するのも楽しいです。
上から庭の作り全体を俯瞰してみるのもなかなか乙なものです。
あんまり見下ろせることってないですからねぇ。
玉泉園は大きく、西庭、本庭、東庭の3つに分かれていて、えー、本来は、入口から入ると、「西庭」の茶庭風の庭、そして「水」字型をした池を中心に配した本庭、そして東庭から高台へと登り「灑雪亭」へ。
というような高低差もあり、また池泉のまわりを回る「池泉回遊式庭園」にもなってるんですね。
えー、逆流しながら庭園を散策します。(*゚ー゚)>
「灑雪亭」露地にある朝鮮五葉松と凌霄花(ノウゼンカズラ)。
この朝鮮五葉松は初代脇田直賢が故郷を偲ぶために、朝鮮から苗木を取り寄せたんだそうです。
つまり樹齢は約400年!
そして幹に絡みついているのは、なんとお松の方から頂いたという凌霄花(のうぜんかづら)。
お松の方は初代加賀藩主前田利家のご正室ですよ。
凌霄花(のうぜんかづら)は夏頃にオレンジ色の花を咲かせますよ。
兼六園からも見えるらしい。
めちゃめちゃ立派な朝鮮五葉松。
おっきい。
では、逆流になりますが、玉泉園をぐるっと回遊しながら散策スタート。
写真では伝わりにくいんだけど、けっこうな高低差があります。
「灑雪亭」から下りるとちょうど東庭に。
木々と苔と飛び石がなんとも絶妙。幽玄美ってやつですかね。
傘が苔むしてて、なんとも可愛らしい灯籠がいた。
そしてなぜか、うさぎ。
大きな石の上にうさぎがいた。
かわいいけど、なぜ?
塞がれてたけど井戸もあった。
なんとも風情のある木戸。
この先が玉泉園の中心となる本庭ですね。
うーん、素敵。
ちょっとタイムスリップ感もあるかも。
兼六園のすぐそばなんだけど、すごい静かなんですよ。
まさに静寂。静寂と書いてしじまと読む感じ。よくわかんないけど。
本庭の中心にある池。
この池が「水」の字型に設計されているんだそう。ちなみにこれは江戸中期の地割の特徴らしい。
そして池の水は実は兼六園の霞ヶ池・ことじ灯籠付近の曲水から引いているんです。
傾斜地へと水を引いてるので、池へと注がれる水が滝になってるんですね。
ちょっとわかりにくいけど滝があるんです。流れ落ちる音がなんとも心地よいんです。
写真の技術が拙いせいで伝わりにくかもですが!
あ、あとなんと玉泉園にはなんと、水芭蕉が自生してます!
標高の低い市街地に自生するなんて稀なんですよ。
春になると白い花が咲きますよ。
京都にある裏千家の名茶室「寒雲亭」の写し。
4代目が家元の許しを得て、建てたんだそう。
ほぼ同じように作られてるけど、違いは濡れ縁をつけなかったことらしい。
なんでつけなかったんだろ。
現在はガーデンレストラン「かなざわ玉泉邸」の中にあるので、内部は利用者のみ見学できる模様。
越前藩主松平家から頂いたという正立方体の横型手水鉢。
公家や大名にしか許されなかったという桐葉があしらわれてる。
手水鉢なんだけど、大名から頂いたので軒の内に大事に置かれてる。
西庭に本庭を望むように東屋がある。
また木戸を通り、本庭から西庭へ。
ちょっと階段を上った先にある東屋。「梅が亭」と書かれてる。
玉泉園はいって割とすぐ、ガーデンレストラン「かなざわ玉泉邸」のそばにある「筒胴(ずんどう)型飾り手水鉢」。
たしかに、膨らみの全くないずんどう型ですね。
全国的にも珍しいそうです。
金沢郊外の粟崎にあった豪商木谷家伝来のものらしい。
「葦」と「蛙」が彫られてるらしい(ちょっとわかんなかったけど)。
「葦」は「悪し」、蛙は「買わず」を意味していて、「悪いものは買わない」という語呂合わせになってるそうです。
なるほど。
筒胴型飾り手水鉢のそばにあった灯籠がまたすごい苔むしむしてて。
なんとも気になる風貌です。
玉泉園の入り口入って右奥くらいにひっそりとある「隠れ切支丹燈籠」。
実は、脇田直賢は隠れ切支丹だったんですね。
キリシタン大名として有名な高山右近の影響を受けたらしい。
高山右近は、加賀藩主前田利家の保護によって金沢に26年間滞在してたんですよ。なので実は金沢には右近ゆかりの地がけっこうあるんです。
たぶん隠れ切支丹も多かったんじゃないかな?
で、隠れ切支丹の脇田直賢が石工に作らせた隠れ切支丹燈籠。
全体を十字架に見立てていて、竿という灯籠の足の下部に合掌をした聖母マリアの像が刻まれています。
古田織部が考案したことから織部灯籠と呼ばれてます。
金沢最古の隠れ切支丹燈籠でもあります。
実は玉泉園のすぐ隣には、ガーデンレストラン「かなざわ玉泉邸」があります。
隣というか敷地内というか。
「かなざわ玉泉邸」はミシュランから一つ星を獲得してます。
庭園を眺めながらお食事が楽しめるという、なんともセレブな雰囲気を味わえるお店です。
入ったことはないですが。゛(6 ̄  ̄)
「かなざわ玉泉邸」への入り口。なんとも高級感漂う雰囲気。
玉泉園の庭園内から見た「かなざわ玉泉邸」。
緑に囲まれてなんともお素敵ですね。
実に気持ち良さそうだぁ。
庭を眺めながらのお食事。なんて贅沢。
玉泉園自体が本来お屋敷に座って眺めることを前提として作られてるから、「かなざわ玉泉邸」から眺めるお庭が最も美しいということかな……。
ちなみにこの西田家庭園「玉泉園」がある一帯は、金沢を代表する景勝地「兼六園」はもちろん、他にも「成巽閣」や「玉泉院丸庭園」など有名な庭園がてんこもりなのです。
「玉泉園」はその中でも最も古い、らしい。
しかも結構な広さのかなり立派な庭園だった。
なんで今まで行かなかったんだろう……
地元ってそんなもんよね。
玉泉園を作ったのは脇田家なのにな今は、西田家庭園というのかというと、脇田家は明治維新後、明治11年(1878)に庭園等を手放したんですね。明治38年(1905)からは西田家が屋敷、庭園を受け継いたんです。
そして昭和46年(1971)から、西田家庭園「玉泉園」として庭園が一般公開されるようになったのです。
庭園としての見どころもいっぱいあるし、歴史も感じられるものもいっぱいあるので、玉泉園にも行ってみたらいいんじゃないかな?
兼六園すぐそこだから!
兼六園まで来るなら、ちょこっと足伸ばして玉泉園、行ってみない?
お抹茶もいただけてのんびりできるよ。
所在地 | 〒920-0932 石川県金沢市小将町8−3 |
---|---|
入園料 | 一般700円、高校生600円、小・中学生500円 ※抹茶(生菓子)付きは+800円、お手前付(茶道体験)は+2,300円 |
開演時間 | 9:00〜17:00 |
定休日 | なし(臨時休園の場合あり) |
駐車場 | 近隣の有料駐車場を利用 |
アクセス | 「兼六園下」バス停より徒歩約2分 |
問合せ | 076-221-0181 |
URL | http://www.gyokusen-en.net |
- 2019年4月に訪問した際の内容です。営業形態、営業時間や定休日が表記と異なる場合がありますので、ご利用の際は必ず事前にご確認ください。
- もし掲載内容に誤りがありましたら、大変お手数ですがご指摘いただけると幸いです。
- 写真の無断転用はご遠慮ください。
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